光通信 用語集②|DWDM・非線形・APNまでまとめて解説

光通信 用語集②|DWDM・非線形・APNまでまとめて解説

本記事では、光通信の基礎からAPN(All-Photonics Network)まで、これまでの記事で扱った用語を整理します。

■ 光伝送の基礎

光ファイバ

光信号を伝送する媒体。全反射の原理を利用し、長距離・大容量通信に利用される。

波長(Wavelength)

光の波の一周期の長さ。WDMにおいては、通信チャネルを区別するための識別単位として扱われる。

光電変換(O/E・E/O変換)

光信号と電気信号を相互に変換する処理。ルーターやスイッチのインターフェースで行われる。

■ WDM / 光多重

WDM(波長分割多重)

異なる波長(色)の光信号を1本の光ファイバに多重化して同時に伝送する技術。

DWDM(高密度波長分割多重)

波長間隔を極めて狭く(高密度に)多重する方式。長距離・大容量の基幹伝送に利用される。

CWDM(低密度波長分割多重)

波長間隔を広く(通常20nm間隔)多重する方式。伝送距離や容量は限られるが、低コストな構成が可能。

チャネル

WDMにおいて、個々の波長に割り当てられた独立した通信単位。

光パス

光ネットワーク上で設定される、特定の波長を用いた送信元から宛先までの論理的な通信経路。

■ 光装置・構成要素

トランスポンダ

クライアント側の信号を、長距離伝送に適した波長・フォーマット(誤り訂正符号の付加など)の光信号に変換し、送受信する装置。

ROADM(再構成可能光分岐挿入装置)

光信号を電気に変換することなく、波長単位で任意の経路へ分岐・挿入・通過(Add/Drop/Through)を切り替えられる装置。

Mux / Demux(光合分波器)

送信側で複数の波長を1本の光ファイバに束ね(合波)、受信側で元の波長ごとに分離(分波)する受動部品。

EDFA(エルビウム添加光ファイバ増幅器)

光信号を電気信号に変換することなく、光のまま一括して増幅する装置。

■ 品質・評価・劣化指標

OSNR(光信号対雑音比)

光信号の電力とノイズ電力の比。光伝送路の信号品質を評価する最も基本的な指標。

ASEノイズ(増幅自然放出雑音)

EDFAなどの光増幅器で発生する光のノイズ。多段中継によって蓄積し、OSNR低下の主な要因となる。

BER(ビット誤り率)

受信したデータにおいて、エラーとなったビット数の割合。最終的な通信品質を示す。

ジッタ

デジタル信号のタイミングが理想的な時間軸から前後に揺らぐ現象。伝送品質劣化の要因となる。

■ 非線形効果

非線形効果

光ファイバに入力される光の強度が一定以上になると、屈折率の変化などを引き起こし、信号波形が歪む現象。

SPM(自己位相変調)

光パルス自身の強度変化によって屈折率が変化し、自身の位相にズレが生じる現象。

XPM(相互位相変調)

多重化された他のチャネルの光強度の変動が干渉し、位相にズレが生じる現象。

FWM(四光波混合)

3つの異なる波長の光が相互作用し、ノイズとなる4つ目の新たな波長成分が発生してしまう現象。

■ 分散・補償

波長分散(Chromatic Dispersion)

光に含まれる波長(周波数)成分ごとにファイバ内の伝搬速度が異なるため、長距離伝送するにつれて光パルスの波形が広がってしまう現象。

分散補償

分散による波形の広がりを打ち消す処理。近年は受信側のDSPによるデジタル信号処理での補償が主流。

■ コヒーレント通信

コヒーレント通信

光の「振幅」だけでなく「位相」の情報も利用し、受信側に局発光を混ぜ合わせることで、大容量かつ高感度な通信を実現する方式。

DSP(デジタル信号処理プロセッサ)

受信したアナログ信号をデジタル化し、波長分散や非線形効果による信号の歪みを高度な演算によって補償するチップ。

QPSK

光の位相を4段階に変化させることで、1回の変調で2ビットの情報を送る方式。

QAM(直交振幅変調)

光の振幅と位相の両方を組み合わせて変化させることで、1回の変調で多ビットの情報を送る高効率な変調方式(16QAMなど)。

■ ネットワーク構成

DCI(データセンター間接続)

地理的に離れたデータセンター同士を大容量の光ファイバネットワークで相互接続すること。

専用線

特定の企業や利用者のために、帯域や回線を物理的または論理的に専有して提供される高セキュリティな通信サービス。

■ 次世代光ネットワーク

APN(All-Photonics Network)

ネットワークから端末に至るまで、通信経路上の光電変換を排除し、エンドツーエンドを光波長のまま伝送する技術。

IOWN

NTTが提唱する次世代情報通信基盤構想。APNを中核技術として、低消費電力・大容量・低遅延の実現を目指す。

AON(All Optical Network)

IPルーターの機能と光伝送を融合し、光電変換機器を削減することで省電力化を図る次世代ネットワーク構造(ソフトバンク等が推進)。

IP over DWDM

ルーターにDWDM伝送が可能な光トランシーバ(コヒーレントプラグアブル等)を直接搭載し、トランスポンダ等の専用装置を省いてIP網と光網を統合するアーキテクチャ。

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