コヒーレント通信とは?仕組み・DSP処理・設計への影響まで詳しく解説
コヒーレント通信は、現代の光伝送における中核技術であり、100G/400G/800Gといった高速通信を支えています。
従来の強度変調とは異なり、振幅・位相・偏波の情報を利用することで、高いスペクトル効率と柔軟な伝送が可能になります。
本記事では、コヒーレント通信の仕組みをDSP処理の観点まで踏み込み、設計への影響まで整理します。
コヒーレント通信の本質
コヒーレント通信では、受信側でローカルレーザ(LO)と信号を干渉させることで、光の電界情報(振幅・位相)を取得します。
これにより、単なる強度ではなく複素信号として信号を扱うことが可能になります。
受信構成(重要)
- 光ハイブリッド(90度ハイブリッド)
- バランスドフォトダイオード
- ADC(A/D変換)
- DSP
この構成により、I/Q成分として信号が取得され、デジタル処理へと渡されます。
DSP処理の中身
DSPでは、以下のような処理が行われます。
CD補償
周波数領域フィルタなどを用いてクロマティック分散を補償します。
PMD補償
適応フィルタにより偏波の回転や遅延を補償します。
キャリア位相推定
レーザの位相揺らぎを補償し、正しい復調を可能にします。
等化処理
ISI(インターシンボル干渉)を除去し、信号品質を改善します。
変調方式との関係
コヒーレント通信では、QPSKや16QAMなどの多値変調が使用されます。
- QPSK:耐性高い(長距離向け)
- 16QAM:高容量(短距離向け)
変調方式によって必要なOSNRが大きく変わります。
OSNR設計への影響
コヒーレント通信では、変調方式ごとに必要OSNRが決まっています。
例えば、16QAMではQPSKよりも高いOSNRが必要になります。
そのため、リンクバジェット設計では、変調方式を前提にOSNRを確保する必要があります。
非線形効果とのトレードオフ
コヒーレント通信では、パワーを上げることでOSNRは改善しますが、非線形効果が増加します。
逆にパワーを下げると非線形は減少しますが、OSNRが不足します。
そのため、最適なパワーポイントを見つけることが設計上重要になります。
実運用での考え方
DSP前提設計
CDはDSPで補償する前提で設計されるため、DCFは不要となるケースが多くなっています。
OSNRマージン
FECを考慮しても、数dBのマージンを確保する設計が一般的です。
非線形制御
チャネルパワーの最適化が重要であり、過度な入力は性能劣化につながります。
まとめ
コヒーレント通信は、光の電界情報を利用することで高効率な伝送を実現する技術です。
DSP処理によって分散や歪みを補償できる一方で、OSNRや非線形効果とのバランス設計が重要になります。

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