WSSとは?仕組みをわかりやすく解説
ROADMの仕組みを理解するうえで欠かせないのがWSSです。ROADMの中核機能を担う装置であり、波長単位で信号を制御する役割を持ちます。
一方で、MUX/DEMUXと何が違うのか分かりにくいと感じる方も多いと思います。
この記事では、WSSの基本的な仕組みから、ROADMやMUX/DEMUXとの違い、現場で意識するポイントまでを整理します。
WSSとは
WSS(Wavelength Selective Switch)とは、複数の波長を持つ光信号を波長ごとに分離し、それぞれを任意の出力ポートへ振り分ける装置です。
簡単に言えば、「波長ごとに行き先を変えられるスイッチ」です。
WSSの役割
WSSは、光ネットワークにおいて波長単位のルーティングを実現します。
- 特定の波長を別方向へ分岐する
- 複数の経路に振り分ける
- 必要な波長のみを取り出す
これにより、柔軟なネットワーク構成が可能になります。
WSSの仕組み
WSSは、入力された光信号を波長ごとに分解し、それぞれを個別に制御して出力します。
一般的には、回折格子やMEMSミラーなどを用いて波長を分離・制御します。
この構造により、複数波長を同時に扱いながら、動的なルーティングが可能になります。
ROADMとの関係
ROADMはWSSを内部に持ち、波長単位の制御を実現しています。
ROADMの基本については以下の記事で解説しています。
ROADMは「機能全体」、WSSは「その中核部品」と考えると理解しやすいです。
DWDMとの関係
WSSはDWDM環境で使われ、複数波長の制御を行います。
DWDMについては以下の記事で解説しています。
MUX/DEMUXとの違い
WSSやROADMと混同されやすい装置に、MUX/DEMUXがあります。
MUX/DEMUXは複数の波長をまとめる、または分離するための装置であり、基本的に構成は固定です。
例えば、複数の波長を1本のファイバにまとめる、あるいは受信側で分離するといった用途に使われますが、波長ごとの経路を変更することはできません。
一方でWSSは、波長ごとに出力先を制御できるため、動的なルーティングが可能です。
- MUX/DEMUX:固定的な合流・分岐
- WSS:波長ごとのルーティング制御
そのため、MUX/DEMUXはシンプルな構成に適しており、ROADMやWSSは柔軟なネットワーク制御が求められる環境で使用されます。
現場で見るポイント
WSSは便利な装置ですが、光品質にも影響を与えるため注意が必要です。
挿入損失
WSSを通過することで数dBの損失が発生します。複数回通過すると、この損失が累積します。
フィルタ特性
波長フィルタの特性によっては、信号の一部が削られ、品質に影響する場合があります。
マージン設計
WSSを含む光ネットワークでは、損失やノイズの影響を考慮してマージンを確保することが重要です。
例えば、複数ノードを通過する構成では、WSSによる損失が積み重なるため、数dBの余裕を持った設計が一般的です。
このマージンは、経年劣化や温度変動、装置ばらつきなどの影響を吸収するためにも必要になります。
OSNRとの関係
WSSによる損失やフィルタ特性は、結果としてOSNRにも影響します。
OSNRについては以下の記事で解説しています。
まとめ
WSSは、波長単位での柔軟な制御を可能にする重要な装置であり、ROADMの中核を担っています。
MUX/DEMUXとの違いは、固定的な構成か、動的な制御が可能かという点にあります。
また、挿入損失やフィルタ特性による影響もあるため、設計時にはマージンを持たせることが重要です。
DWDMやROADM、OSNRとあわせて理解することで、光ネットワーク全体の構造がより明確になります。

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