ROADMとは?構成・仕組み・WSSの役割まで詳しく解説

ROADMとは?構成・仕組み・WSSの役割まで詳しく解説

ROADM(Reconfigurable Optical Add-Drop Multiplexer:再構成可能光分岐挿入装置)は、光信号を電気信号に変換することなく、波長単位で経路を遠隔から動的に制御できる装置です。

DWDMネットワークにおいて、トラフィック需要の変化に合わせて光パスを柔軟に切り替えるための中核装置として利用されています。

ROADMの基本機能

ROADMは、多重化された光信号を波長ごとに処理し、主に以下の3つの動作を行います。

  • Add:トランスポンダからの特定の波長をネットワーク(伝送路)に挿入する
  • Drop:伝送路から特定の波長を分離し、自局のトランスポンダへ取り出す
  • Through:自局で処理しない波長を、そのまま透過(パススルー)させる

これらの処理を「光のまま」行うことで、低遅延かつ柔軟なネットワーク構成が可能になります。

ROADMの内部構成

基本構成

現代のROADMノードは主に以下の要素で構成されます。

  • WSS(波長選択スイッチ):経路制御の中核部品
  • 光増幅器(EDFA):通過時や分岐・合波時の光損失を補償する
  • 光スプリッタ / MCS(マルチキャストスイッチ):Add/Drop部での信号の分配・選択を行う

WSSの役割

WSS(Wavelength Selective Switch)は、入力されたWDM光信号を波長ごとに分離し、任意の出力ポートへ自由に振り分けることができる高度な光モジュールです。

内部の光の偏向には、微小なミラーを動かすMEMS技術や、LCoS(Liquid Crystal on Silicon:反射型液晶デバイス)を用いた空間光変調技術が利用されており、特定の波長だけを別の経路へルーティングする要となります。

Degree(方路数)とROADM構成

ROADMが接続できる異なる伝送路(方向)の数を「Degree(ディグリー)」と呼びます。

  • 2 Degree:主にリング型やリニア(直線)型トポロジにおける分岐・挿入ノードとして機能します。
  • 3 Degree以上:複数の方路が交差するメッシュ型ネットワークにおいて、光信号を任意の方向へ振り分ける光クロスコネクト(OXC)として機能します。

Degree数が増えるほど、より複雑で網の目のようなネットワーク構成に対応可能になります。

ROADMの進化:CDC-F ROADMへ

初期のROADMには運用上の制限がありましたが、現在は以下の4つの機能要件を満たす**「CDC-F ROADM」**が主流となっています。

  • Colorless(波長無依存):トランスポンダを接続するポートが特定の波長に固定されず、ソフトウェア制御で任意の波長を送受信できる機能。
  • Directionless(方路無依存):Add/Drop部から、接続されているどの方路(Degree)へも自由に波長を振り分けられる機能。
  • Contentionless(波長競合回避):異なる方路に向かうのであれば、同一装置内で同じ波長を複数同時にAdd/Dropしても、内部でブロック(衝突)が発生しない構成。
  • Flexible Grid / Gridless(帯域可変):従来の固定された波長間隔(50GHz等)ではなく、通信速度(100G, 400G, 800G等)に応じて必要な光周波数帯域を柔軟に割り当てる機能。

これらにより、現地での物理的な配線変更(ファイバのつなぎ替え)を伴わず、遠隔からのソフトウェア操作のみで完全な運用が可能となりました。

APN(All-Photonics Network)との関係

次世代の通信基盤であるAPNでは、エンドツーエンドでの光パス(波長専有)の確立が前提となります。

CDC-F機能を持つ高性能なROADMは、この光パスを途中で電気変換することなく、メッシュネットワーク上で自在にルーティング・中継するための不可欠な基盤設備として重要な役割を担っています。

まとめ

ROADMは、波長単位で光信号を制御できる装置であり、DWDMネットワークにおける中核技術です。

特にWSS技術の高度化とCDC-F機能の実現により、従来の固定的なインフラから、トラフィック需要に応じてオンデマンドで経路を変更できる「動的でスケーラブルな光ネットワーク」への進化を支えています。

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